毎年遠方から野菜を送ってくれる友人に、今年はお中元として「読む果物」を贈ることにした。 それが本書『ことばの果実』だ。 自分用にも探してみたが、もうネット書店では扱っていないようで、復刊が待ち遠しい。 幸い新品が存在するときに手に入れられたの…
小学生の頃に図書館に行ったら、未読の本がないか必ず確認しに行っていた。 当時、たくさんある話をとびとびに読んでいたので、時系列には整理しきれず、話の意味もわからなかったところ多々だったと思うが、セリフが面白くて読み込んで覚えるほど気に入って…
前回から続き、若い方に偶然手に取ってもらえるなら「ぜひこれを」と思う本の2冊目。 三羽省吾『イレギュラー』 漫画が好きな人なら楽しめるのではないだろうか。表紙のボールが印象的。 本書は、水害にあった町の高校の野球部と、エリート野球部の交流のな…
読書好きとして、ちょっと言いにくいけど言いたいことがある。 「これ読んでみて」だ。 特に、本を読まない人に「読んでみて」というのは、なかなか言いにくい。 意に沿わないことを「強要された」と感じさせる可能性が高いし、また、自分の趣味を押し付けて…
『山月記』『名人伝』など有名どころは色々な本で読むチャンスがあるが、それ以外の作品に触れるには受け身ではいけない。前進あるのみだ。 私は、『中島敦』(ちくま日本文学) を図書館で借りて、欲しくなりその後買い求めた。古典の注釈の多くは巻末につい…
なつかしの「こまったさん」。 先月、書店にてキャンペーンが行われていたらしい。(うちは田舎のため大型書店がなく残念) 中川李枝子さんが著書で、25年以上経った絵本は本物と書いていらっしゃったが、こまったさんは誕生から39年だそうだ。 同じ著者の本…
タイトルからどんな本かを推測しようとするのは難しいのではないだろうか。「オリガ・モリソヴナ」とは人の名前だ。 物語の舞台はロシア共和国。日本列島の場所によっては隣国、とはいえ、ちっとも身近ではなく、なぜかなんとなく不気味で得体の知れない国に…
多くの人が読書について書いている。 本好きが書くため、多読を進める意見が多いが、様々な視点からの意見もあり面白い。 例えばショーペンハウエルは、多読の危険性を説いた。 読書好きによる様々な意見がある中で、多読を当然のこととしていて、且つ、読書…
著者による作品のなかで(現時点で)ダントツに面白く、読後強く印象に残ったのが本書。 読めば、一人で「なんだか寂しい」なんてつぶやく自分にさようならだ。 主人公の長平は土佐の国の水主。米を運ぶ仕事を終え帰路の途中、悪天候により船が難破し、黒潮に…
自己紹介で名乗ると、「ああ、あの名探偵の…」と言われたことがあるという(出典失念、どこかで読んだ)金田一先生。本家、金田一耕助氏も「アハハハハ…」と哄笑するであろう楽しいエピソードだ。 金田一先生、と書いているが、学生だったわけでない。以前、…
数あるクイーン作品のなかで、なぜこれを挙げたのかというと、初めて犯人をあてた話だからだ。 「国名シリーズ」と言われるらしい順番で言うと3作目。嬉しくて解決編では思わず声を上げてしまった。 1作目は推理する気もなくさっさと解決編を読んでしまい…
執筆時、昭和初期。当時の少女たちが夢中で読んだという本書。 私が読もうと思ったきっかけは、田辺聖子さんのエッセイ『一生、女の子』で、吉屋信子さんの本が子どもの頃から大好きだと書かれていたからだ。 そうと決まれば先駆けて、内田静枝(編集)、弥生…
編集者、作家であり、また数々の絵本、児童文学の翻訳をされ、戦後東北で農業や酪農もされ、子どもの図書館をつくり、エッセイもたくさん書かれた…等々、言わずと知れた石井桃子さん。 名前を知らなくても、子どもの頃に絵本を介してふれあっていた方も多い…
本を読むことが好きなので、題名に「読書」とつけられている本を見かける度に手に取っている。 図書館で偶然、本書を目にして読んでみて、出会えたことに感謝した。 とても易しい言葉で書かれているのに、なんと重厚な内容なのだろうと驚いた。 読書について…
本の友だちは一生その人と共にある。 こうして生涯話しあえる本と出あえた人は仕あわせである。 石井桃子 私には、本の友人がたくさんいる。 人の友人と違い、際限なくどんどん増えていく。 友人は大切にしたい。そのため、今いちど、頭の棚を整理し、楽しく…