橘芳 本との交友

読んだ本の整理を兼ねた本との交友録です。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

米原万里『オリガ・モリソヴナの反語法』

タイトルからどんな本かを推測しようとするのは難しいのではないだろうか。「オリガ・モリソヴナ」とは人の名前だ。 物語の舞台はロシア共和国。日本列島の場所によっては隣国、とはいえ、ちっとも身近ではなく、なぜかなんとなく不気味で得体の知れない国に…

小林秀雄『読書について』

多くの人が読書について書いている。 本好きが書くため、多読を進める意見が多いが、様々な視点からの意見もあり面白い。 例えばショーペンハウエルは、多読の危険性を説いた。 読書好きによる様々な意見がある中で、多読を当然のこととしていて、且つ、読書…

吉村昭『漂流』

著者による作品のなかで(現時点で)ダントツに面白く、読後強く印象に残ったのが本書。 読めば、一人で「なんだか寂しい」なんてつぶやく自分にさようならだ。 主人公の長平は土佐の国の水主。米を運ぶ仕事を終え帰路の途中、悪天候により船が難破し、黒潮に…

金田一秀穂『日本語大好き キンダイチ先生、言葉の達人に会いに行く』

自己紹介で名乗ると、「ああ、あの名探偵の…」と言われたことがあるという(出典失念、どこかで読んだ)金田一先生。本家、金田一耕助氏も「アハハハハ…」と哄笑するであろう楽しいエピソードだ。 金田一先生、と書いているが、学生だったわけでない。以前、…