自己紹介で名乗ると、「ああ、あの名探偵の…」と言われたことがあるという(出典失念、どこかで読んだ)金田一先生。本家、金田一耕助氏も「アハハハハ…」と哄笑するであろう楽しいエピソードだ。
金田一先生、と書いているが、学生だったわけでない。以前、金田一先生の書いた読書に関する文章を読んで、読書が更に好きになったので、勝手に慕っているだけである。(この文章については機会があればいつか書きたい)
本書は、様々な言葉のプロフェッショナル13人との対談で、読まなければもったいないと感じる豪華な内容である。それぞれの対談を興味深く楽しめる。
特に、谷川俊太郎さん、安野光雅さん、ロバート・キャンベルさん、土井善晴さん、外山滋比古さん、出口汪さんとの対談が印象に残り、諸氏の他の著書も読んでみた。
本書は読む度に、様々な箇所でわくわくする。何しろ、13人とも別の職業の言葉のプロであるから、内容豊富。たくさんの面白い意見が聴けて、それを反芻することもできる。昨年、鬼籍に入られた外山氏、安野氏との対談は、活字で残されていることに感謝したい気持ちだ。
内館牧子さんには言葉について、これからもどんどん怒っていただきたいと思う。金田一先生、怒らないんだもの。
教科の「国語」という枠組みを取っ払い、もっと日本語について知りたいと思った。
本書は、金田一先生をはじめとした、言葉を仕事として使われている人たちにより、日本語についての熱い意見を読ませてくれ、間接的に多くの本へと向かわせてくれる太っ腹な友人である。