橘芳 本との交友

読んだ本の整理を兼ねた本との交友録です。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

恩田陸『蛇行する川のほとり』〈1〉〈2〉〈3〉

夏に読みたい本のひとつです。 文庫本も出ているようですが、新書サイズで3冊に分けられているタイプのほうが、読むのが楽しいと思います。 なぜかというと、それぞれ語り手が違うので切り替えがしやすく、また、装丁が3冊とも色の違うシンプルできれいなも…

追憶の友②『12のつきのおくりものースロバキア民話(こどものともセレクション)』内田莉莎子再話

今でもよく覚えている絵本です。 マルーシカという名の主人公が、姉のホレーナと「やもめ(初めて知った言葉でした)」に虐げられているところから始まります。例えば寒い冬の日に「すみれをとってこい」と言われて家を追い出されてしまうのです。この状況は…

追憶の友①あきやまじゅんこ『チョイのちいさなかご』

友人(ヒト)が子育てをしています。 私はおせっかいにも、以前、宮崎駿『本へのとびらーー岩波少年文庫を語る』をあげました。 幸い気に入ってくれたようでホッとしたのですが、まだ幼児には早いのもあって、話題は絵本に。それで、子どものころにどんな絵本…

井伏鱒二『井伏鱒二全詩集』

先日、枝豆を茹でて、井伏鱒二の「逸題」という詩を思い出しました。 こういうもの。 (岩波文庫『井伏鱒二全詩集』P24) 今宵は仲秋明月 初恋を偲ぶ夜 われら万障くりあはせ よしの屋で独り酒をのむ 春さん蛸のぶつ切りをくれえ それも塩でくれえ 酒はあつ…