橘芳 本との交友

読んだ本の整理を兼ねた本との交友録です。

忙しい日々の友たち

気づけば師走になってしまいました。

先週書類に日付を書くときに「11月」と書いていたくらい日付感覚がもうわかりません。

旅行から帰ったあとずっと仕事が忙しく、「過労死」という言葉が頭をよぎりました。

忙しくなりすぎると精神の骨組み(あるのかどうかわからないけれど)が脆くなるのがよくわかります。

今朝は季節外れの暖かさで、久しぶりにのぞいた畑で植えっぱなしのチューリップの芽が出てきているのを見つけて一人慄いていました。なんだか梅や桜も咲き始めそうな陽気です。鳥もにぎやか(特にヒヨドリ)。

目の前の些事で気持ちに余裕がなくなった生活に花鳥風月は欠かせません。

寝る時間が減り、滋養強壮剤で一発キメないと働けない日々は、自分すら蔑ろにしがちです。

何冊読んだか覚えていませんが、今は現実を忘れさせぐいぐい読ませてくれる本に助けられています。

仕事終わりにふらふらと職場最寄りの書店と図書館に行って手に取るのは信頼できる作家さんの本だなと実感。

基本的に明るい、楽しい、かっこいい、元気が出る本が好みです。あとは日本語をしっかりと使っていらっしゃる作家さんの本。

気持ちが荒んでいるので、読んだ本への評価も辛辣になるのがわかりました。例えば、軽快に読めるかと期待して手に取ったのですが、なんだかつっかえてしまうエッセイがありました。装丁はお洒落で女性に人気のある方のようです。

なぜ読むのがしんどいのか考えながら読み、違和感のしっぽをつかみました(言いたい)。理由は「子供っぽいから」でした。もう少し言うと、子供っぽいことをだらだら書き連ねているのを自己正当化してもっともらしく主張しているのが読んでいられないと思いました。

じゃあ読まなきゃいいのに、気持ちが荒んでいますから辛辣に「読みづらい理由」を追求しようとする自分を見つけました。

本を読むことで自分のこともわかるのが面白いです。

もちろん、このエッセイを必要としている人もいらっしゃることでしょう。

本に求めているものがそれぞれ違うだけなので、私の評価が正しいわけではもちろんありませんし、今じゃなく別のときだったら、このエッセイを「ふーん」と軽く読める気がします。

私は「憧れる人」を探してエッセイ・随筆を読んでいるところがあるのだな、ということも今回発見でした。

いま手元にあって読めていない未読の随筆が数冊あります。

時間と気持ちに余裕ができたら、幸田文さん、石井桃子さん、茨木のり子さん、米原万里さんのエッセイ(随筆)も読みたいです。

今年もあと少し、みなさまもよい本に出会えますように。