橘芳 本との交友

読んだ本の整理を兼ねた本との交友録です。

ローレンス・ブロック『おかしなことを聞くね』

少しずつ読書ができるようになってきて、読んだばかりの短編集です。

宮部みゆきさんのエッセイで紹介されていた本で、曰く、寝る前に1篇だけ読もうとページを開いたのに朝まで読みふけってしまったとのことで、面白い本を書く作家が面白いという本はきっと面白いのだろうと思って(私は一日1篇ずつぐらいのペースで)読みました。

結果、やはり面白く、一冊に濃いお話が18篇みっちり詰まっていて満足しました。毎回新鮮な驚きがあります。作家の宮部さんが「巧い」と書かれていた部分を読者の私は「面白い」と評するのだろうなと思いました。

全体的に「殺し」がカジュアルに書かれていますので、そういうのが苦手な人は好みに合わないかもしれませんが、スマートにまとまっていますのでただ単純にお話を楽しめばよいのです。読書の醍醐味といえましょう。

18篇もあるので、最後まで楽しんでから目次を見ると「こんなにあったっけ?」と思います。

「まえがき」も、初めて知る(私の場合)作家が身近に感じられて楽しめます。

私は「道端の野良犬のように」と「詩人と弁護士」「アッカーマン狩り」「窓から外へ」が特に気に入りました。

「我々は強盗である」と「動物収容所にて」は痛快でした。

読書っていいものだなと改めて思わせてくれました。宮部さんに感謝しております。

本書は、読書の楽しさを思い出させてくれて、たくさん詰まったお話で楽しませてくれる友人です。